事件概要
愛知県教育委員会は11月22日、SNSで知り合った少女にみだらな行為をした小学校の教師らを懲戒免職しました。
県教委によりますと、西尾市立西尾小学校の校務主任だった内川充被告(43)は今年5月から6月にかけ、SNSで知り合った当時15歳の少女に、複数回にわたりみだらな行為をして動画を撮影していました。
逮捕・起訴された内川被告は罪を認め、11月15日に懲役4年の判決を受けていて、県教委は22日付けで懲戒免職としました。
(本文,写真は東海テレビHPより.2024.11.22)
事件について考えてみる
刑罰について
事件の詳細がわからないので,事件の内容や懲役4年という判決内容などから推測してみます。
不同意性交等罪
43歳の教員(校務主任)と15歳児童との間の性行為となります。
これは,不同意性交等罪の特例にふれている可能性があります。
相手が13歳以上16歳未満の子どもで,行為者が5歳以上年長である場合にも,不同意性交等罪が認められます。
そして,不同意性交等罪は,「5年以上20年以下の有期拘禁刑(懲役)」となります。ちなみに,3年以上の懲役となるような罪はすべて執行猶予(有罪判決による刑の執行を一定期間猶予する刑法上の制度のこと。これにより刑務所に入らずに生活ができます)はつきません。
このような特例があるので,今回の事件は不同意性交等罪が適用になっているのかと思いましたが,懲役期間が合いません。
児童買春・児童ポルノ禁止法
もうひとつの可能性を考えてみると,児童買春・児童ポルノ禁止法に違反している可能性が考えられました。
「児童買春」とは,児童等に対し対償を供与し,又は供与の約束をして,児童に対し性交等をすること
※児童とは,18歳未満の者のことです。
もし教員と15歳児童の間で,金銭などのやりとりがあり,その対価として性交をしていた場合,児童買春・児童ポルノ禁止法が該当します。
児童買春・児童ポルノ禁止法で,児童買春が当てはまる場合,「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となります。
「懲役4年の判決」ということから,「不同意性交等罪」ではなく,児童買春・児童ポルノ禁止法によって裁かれた可能性があります。
不同意わいせつ罪
これは
「相手が以下のような行為や状況によって「同意しない意思」を示したり、それを守ったりすることが難しい状態にさせたり、その状態を利用してわいせつな行為をした場合、結婚しているかどうかに関係なく、6カ月以上10年以下の懲役刑が科されます」
というものです。
ただし,16歳未満の人に対してわいせつな行為をした場合は,相手の同意があったとしても不同意わいせつ罪が成立します。
この要件は「性的同意年齢」と呼ばれています。
旧強制わいせつ罪における性的同意年齢は13歳とされており、13歳未満の者を相手にわいせつな行為をした場合は同意があっても処罰の対象でしたが、不同意わいせつ罪の新設に伴い性交同意年齢が16歳に引き上げられました。
今回の被害者は15歳であり,性的同意年齢に達していない児童です。そして加害者は43歳です。つまり,不同意わいせつ罪のが該当してもおかしくない事例です。
刑罰として,6ヵ月以上10年以下の懲役刑となっていることから,報道内容と刑罰の内容は範囲内であり一致しているかもしれません。