絵本『おちんちんのえほん』を紹介していきます!
こちらの本には,ここがすっごくいいなーと思う2つのポイントがありますので,ぜひ性教育の参考にしてください!
本の概要
本の大きさ
このくらいの大きさです(タテ24.6cm × ヨコ24.8cm:全36ページ)。
性教育に関連する内容
からだの発達 体つき,体毛,性差,発達年齢 |
記載なし |
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性器 | おちんちん,女の子にも体の中におちんちんがあると記載あり |
月経・生理 | 記載なし |
精通 | 記載なし |
妊娠・出産 | 精子,精巣,卵子,卵巣,子宮,へその緒,帝王切開,出産シーン |
性交 | 記載なし |
マスターベーション・自慰 セルフプレジャー |
記載なし |
性暴力 | プライベートゾーンに関連した性暴力,連れ出すような誘惑の話 |
プライベートゾーン | どこがプライベートゾーンかどのような場所なのかの説明 |
コミュニケーション | 嫌なことを拒否する言い方 |
人間関係 (家族,友人,恋愛) |
記載なし |
LGBTQ | 記載なし |
ジェンダー(規範,役割) | 「男・女らしさ」について少し記述あり。どんな性でも好きな色,好きな服を着て良い等 |
インターネット・SNS | 記載なし |
感染症 | 記載なし |
ここからはオススメする2つのポイントの説明です!
ポイント① 性教育の内容を網羅している
絵本で扱う内容がダントツで幅広い!
性教育関連の絵本といえば,プライベートゾーンとその考え方,性器,家族,妊娠・出産など,ひとつのテーマについて書かれていることがほとんどです。
でもこの「おちんちんのえほん」のすごいところは,ひとつのテーマだけに絞らずに,非常に幅広く多くの内容に触れているところにあります。
多くの内容といっても,それが見事に幼児期の性教育で抑えていたほうがよい内容ばかり!
これは,この絵本の文を作った山本直英(やまもとなおひで)さんが,”人間と性”教育研究協議会代表にもなっている方だからこそだと思います。
自分の体を肯定的に受け止め,自分の体を守り,親とのつながりを感じながら自分の存在に意識を向ける
これを可能にする絵本。1冊の絵本で触れられるってすごいことだと思います!
子どもの「好き」を見つけられる
たくさんの内容が書いてあると,子どもの興味が広がり,あんなことを初めて知った,こんなことも初めて知った,と興味のベクトルを様々な方向に向けることができます。
そして,お父さんお母さんにおすすめしたいのは,”お子さんの興味はどこにあるのかを見つけてみる“ということです。
この絵本で書いてある内容の中で,自分の子どもはどこに興味持ちそうですか?
親の想像とは違う場所で,ケラケラ笑いながら話を聞いたり,たくさんの質問をしてくるかもしれません。
もし,興味持っている場所が見つかればそれは大チャンス!
そこからさらに,興味を掘り下げていきましょう。興味や楽しいに勝るものなしです!
この本では幅広い内容を知るということに加えて,「子どもの興味のポイントを見つける」こともぜひやってもらいたいです。
タイトルと中身が違うから女の子にも読んでもらいたい!
この絵本のタイトルは「おちんちんのえほん」なので,男の子向けの絵本だと勘違いしてしまいます。
でも中身は,色んな内容を扱っているという良い意味で裏切っている絵本です。
そもそも,女の子だからおちんちんについて知る必要はないというのは間違っていますし,科学のひとつ,保健体育のひとつとして知ってもらいたいです。
女の子が読もうとすると恥ずかしく感じてしまいそうでうすが,親が恥ずかしそうにしないことが肝心です。
また防犯という観点からも,性器の名前や性暴力の回避がこの絵本で学べますので,ぜひぜひ女の子にも楽しく読んでいただきたいです。
ポイント② 絵本の内容のつながりがすごい!
この絵本には,大きく2つのストーリーがあると思っています。
幅広く様々な内容を扱っている絵本であると説明しましたが,複数の内容がわかりやすいストーリーとして繋がっていくから更にわかりやすくなっているのです。
2つのストーリー。ひとつは,性暴力回避のストーリー。もうひとつは,自己肯定感を感じるストーリー。
性暴力回避のストーリー
絵本の冒頭は,男の子,女の子の特徴や違い,ジェンダー規範を知るページからスタートします。
つづいて,男の子の体ってどんな特徴があるのか。
おしっこやうんちするときって,どんなふうにするんだろうと,子ども自身の行動を振り返りながら,プライベートゾーンの理解に繋げていきます。
プライベートゾーンについても,どの部分がプライベートゾーンなのか知ることに加えて,お風呂ではプライベートゾーンをどのように扱ったらいいのか。洗い方も簡単に知ることができます。
自分だけの大事なところ,「お友達の前では隠さなくちゃ。お風呂では自分で洗っていこう」という意識をもてたところで,その次はその大事な場所を守ることへの意識です。
自分だけの秘密の場所であるプライベートゾーンは,他の人にとっても秘密の場所。
知らない人がその人のプライベートゾーンを見せてくるっていうのは危険なこと。
知らない人がわたしのプライベートゾーンを見ようとしてくる,触ろうとしてくるのも危険なこと。
これらを理解しながら,もしこんな危険な目に遭いそうになったらどうすればいいかを絵本を通して学んでいきます。
※もし,もうちょっと簡単にプライベートゾーンについて知りたいときには,「おしえて!くもくん」を読んでいただくと,保育園・幼稚園のお子さんでも簡単に理解できると思います。
自己肯定感を感じるストーリー
2つ目のストーリーの開始は,お父さんとお母さんの内性器を知ることから始まります。
お父さんの精巣と精子,お母さんの卵巣と子宮と卵子。
それぞれの場所を絵を通してイメージすることができ,簡単な説明ですがどうやってお母さんのお腹の中で育っていくのか知ることができます。
小学校低学年ですと,お腹の中で赤ちゃんが育つことは知っていても,どうやって外に出てくるのか知らない子も多いです。
でも,この絵本を読むことで,どこから産まれてくるのかわかるはずです。
そしてさらに,
自分自身もこうやって産まれてきたんだ
と現象と現象を繋げることが,お父さんお母さんのお手伝いによってできる場合もあります。
子ども自身には産まれた時の記憶がないからわからないとは思いますが,親とのつながりをうっすらと考えるきっかけになると思います。
そして,命が生まれるということ,絵本に丁寧に綴られている言葉によって,意味はわからないかもしれないけれど,きっとお父さんとお母さんのあったかい気持ちが伝わると思います。
見えないくらいの大きさの「いのちのもと」が,お母さんのお腹の中で育ち,生まれ出てくる。
誕生のストーリーを通して,少しでも自分が生まれてきたことってすごいことなんだなーとか,お父さんお母さんから投げかけられる言葉からそのままの自分でいいんだと感じてもらえたら,とっても素敵だと思います。
ぜひトライしてみてください!!
読んだ人の感想
私の友人が読んで感じたことです。
買っておいて間違いのない1冊
性教育の絵本は何を選んだらいいかわからない。
そんな方には特におすすめの性教育絵本です。
ぜひ「性教育最初の1冊」「必読の1冊」として推薦します!
そして,この本で見つけた興味を,他の絵本につなげていってください!