お父さんの性教育

お父さんのための性教育入門 おちんちんを洗う理由

今回は,これから息子さんにおちんちんの洗い方を教えるというお父さんのために,洗い方というやり方だけにとどまらず,洗うことの根拠についてもお伝えしていきたいと思います。

なんで洗うのかということまでお父さんが知ることで,いつか娘さんにも応用できたり,息子さん自身が自分で考えておちんちんを洗うことができるようになると思います。

それでははじめていきましょう!

おちんちんを洗う理由

おちんちんを洗う理由なんて,そんなの汚いからに決まってるよ。

そんなお父さんの声が聞こえてきそうです。

でも,はい,その通りです。汚くなってきたら洗うのです。

厳密には,おちんちんはいつも汚いから洗うというよりは,おちんちんが汚い状態になるとおちんちんの健康にとってよくない状態だから,その状態を良くするために洗うのです。

もう少し具体的に言うと,

おちんちんに付く細菌による炎症を予防するためです。

汚いから,という理由は非常に良くわかります。

もう一歩先まで想像してみます。

汚くなってしまうと一体どうなるのでしょう,ということです。

臭くなる,ということもあります。Goodです。

そしてもう1つは,バイキンが繁殖してしまうということです。

今回は,このバイキン(細菌)の繁殖とその問題に焦点をあてます。

※陰部の匂いについては別の機会にご説明します。

 

細菌が繁殖しやすい場所

いったいおちんちんのどこに細菌が繁殖するのでしょうか?

ん?おちんちんはバイキンがつきやすいから汚いんじゃないの??

とってもおしいです!

バイキンがつきやすいから汚いというのではないんですが,バイキンがつきやすいという考えは合ってます!

なぜ細菌がおちんちんにつきやすいのかというと,体から出る”垢(あか)”が関係しています。

垢というのは,皮膚が古くなって剥がれ落ち,剥がれ落ちた組織と皮膚から出た分泌液が混ざったものなんです。

おちんちんで考えてみますと,新陳代謝によって陰部の古い皮膚が剥がれ落ちます。

剥がれ落ちた皮膚に,陰部のアポクリン腺(汗をつくる細胞)というところから出た汗が混ざります。

これで垢の完成です。

人間の汗は,汗腺という器官で作られ分泌されます。汗腺には2種類あります。エクリン腺とアポクリン腺です。エクリン腺から出る汗は,さらさらして匂いの少ない汗です。塩分が含まれているので,汗がしょっぱいっていうのは,エクリン腺から出た汗です。

一方アポクリン腺から出る汗は,たんぱく質や脂質が含まれ,匂いがあり,薄く乳白色〜黄色い色がついています。脇の下,陰部,肛門周囲,乳輪周辺,おへの周辺の毛が生えるところから一緒にアポクリン腺の汗が出ます。脇の下が臭くなるのは,このアポクリン腺から出る汗が関係しています。

さて,このアポクリン腺から出る汗はたんぱく質や脂質が含まれていることもあり,細菌が繁殖しやすいです。

さらに,汗の状態ではなく,垢となって体の表面に留まることでより細菌繁殖しやすくなってしまうのです。

おちんちんの構造を考えてみると,おちんちんの皮があり,おちんちんと皮の間に垢が入り込んだりして,垢がたまりやすくなります。

 

垢が引き起こす炎症

さて,いよいよ本日一番伝えたいことに近づいてきました。

剥がれ落ちたおちんちんの皮膚とアポクリン腺から出た汗が混ざって垢ができます。

垢には細菌が繁殖しやすくなります。

そして垢は,とくにおちんちんの皮の内側に溜まりやすくなります。

垢が皮の内側にとどまっている時,垢とおちんちんは接しています。

そうすると・・・

皮膚に刺激を与える細菌が多く含まれる垢がおちんちんに触れることで,炎症という事態が起こります。

炎症は,皮膚に刺激が加えられるなど,傷つけられると起こる,体の生理的な反応です。

具体的には,傷つけられると,皮膚は赤くなったり,痛くなったり,腫れたりします。

かゆみや痛みがでるのはそのせいです。

おちんちんを洗う理由はここにあります。

垢に長く触れていると,そこに炎症が起こり,痛かったり,かゆかったりとつらい症状がでてきます。

この症状が出ないよう,”予防するため”におちんちんを洗うのです。

 

こんな時は要注意

お子さんが,ズボンの上からおちんちんを触ったり,パンツの中に手を入れて触っているのをみて,”性器いじり”してるんじゃないかと勘違いして,「そんなところ触っちゃダメ!」と言いたくなることがあるかもしれません。

しかし,もしかしたら,おちんちんに炎症を起こしていて,かゆみが出ているせいかもしれません。

そのため,もしおちんちんを触っていたとしても,すぐに怒ったりせずに「かゆい感じがする?」とか「ちょっと痛い?」とか,症状が出ていないか聞いてみるとよいと思います。

そして,もうひとつ注意が必要です。

むずがゆい,痛がゆい感じがしてお子さんがおちんちんを触っている時,そのお子さんの手が汚れていたりすると,さらなる炎症を引き起こしてしまう可能性があります。

その意味でも,お父さんが,叱らずに,お子さんの変化に気づいてあげられると,炎症が長続きして辛い時間を過ごすこともなくなるでしょう。

お父さんの観察力の見せ所です!

 

垢があっても恥ずかしくない

おちんちんにたまる垢は,恥垢(ちこう)と呼ばれています。

なんで「恥ずかしい」という漢字を使うんでしょう。おちんちんだからでしょうか??

垢が出てくるのは生理現象です。

恥ずかしがることなんてないのです。

子どもが過度に恥ずかしがらないように,お父さんが積極的に言葉に出したり,ニュートラルな感じで話すことで恥ずかしさも減っていくと思います。

お父さんの影響力って強いと思いますので,ここでもうまくお子さんをサポートしたり,偏った考えを押し付けないようにすることでお父さんの腕の見せ所です。

また,おちんちんを洗う理由を話す流れで,プライベートゾーンについて話してみるのもよいと思います。

 

まとめ

本日のまとめです。

おちんちんを洗う理由
  • 垢が長いことおちんちんに触れていると炎症をおこす。
  • 垢は剥がれ落ちた皮膚とアポクリン腺から出る汗でできてる。
  • 炎症が起きると,赤くなったり,痛くなったり,かゆくなったりする。
  • 炎症を予防するためにおちんちんを洗います。

 

さて,おちんちんを洗う理由について少しおわかりいただけたでしょうか。

洗う理由が少しわかってくることで,お子さんも洗う理由を理解して,目的をもって洗ってくれるようになるかもしれません。

自分で考えて行動する。

性教育で目指していくゴールのひとつです。

 

ゆるっと性教育