9月12日(土)のZOOM性教育第7回は,ゆるっと性教育の助産師メンバー3人が担当してくれました。
題して「みんなで考えよう 妊娠するにはどんなことが大事なの?」です。
このようなメニューで行われました。
- 妊孕性~妊娠しやすさ~
- 女性だけの問題じゃない
- 高齢妊娠のリスク
- 不妊症,不妊治療
- じゃあいつ妊娠を考えたらいいの?
- 妊娠したい人の大切なポイント
妊孕性
芸能人の35歳以降,とくに40歳前後の方の妊娠出産の報道を聞くと,誰でも40代でも,求めれば妊娠はできる,と思ってしまいます。
でも本当にそうなのでしょうか。芸能人の報道からだけでは見えてこないデータがあります。年齢と卵子数のデータを見てみると,生物学的な限界というものがイメージかもしれません。
女性だけの問題じゃない
妊孕性のデータだけを見てみると,妊娠のしやすさは,女性だけの要因で決まってしまうように見えるかもしれません。
しかし,妊娠の仕組み,そしてこれまでわかってきたデータをさらに見てみますと,出産に至る過程でいかに男性側の要因も大きく影響しているかがわかります。
不妊の原因が女性側にあるような印象は,いつからかできてしまったような気がしますが,そんなことはないのです。また,受精した後の妊娠に至らない理由は明確にわかるものではありません。”誰のせい”ということではなく,むしろ子どもを授かる奇跡に気付くことができると思います。
高齢妊娠のリスク
高齢での妊娠,出産にはさまざまなリスクが伴います。
妊娠は女性に備わっている自然な変化ではあるのですが,高齢での妊娠では,いくつかの合併症のリスクがあるのです。なかには,決して軽いものではなく,重度な合併症もあります。
さらに,出産時の体への負担,そして胎児の疾患リスクなど,妊娠~出産に至るまでいくつかのリスクというものがあることを,すべての人が知っておくべきではないかと思います。
医療者でなければ,なかなか出産にともなうリスクを知ることは少ないでしょう。
受精,着床,出産が奇跡の連続であるだけではなく,体への負担を知ることで,出産に関する計画が夫婦で立てられるのではないでしょうか。
不妊症,不妊治療
妊娠が奇跡であり,また高齢になるにしたがって妊娠の可能性が低くなるならば,若者には不妊がないのでしょうか。
実は,20代であっても不妊症となることがあります。もちろん,女性の要因だけではなく,男性側の要因も考えられます。
セミナーでは,不妊の原因となることがら,そして不妊治療のプロセスについて触れられました。不妊治療は,その治療経験者でないと知らないような情報がたくさんあり,セミナーのなかで初めて耳にする内容も多かったのではないかと思います。
経済的な面についても,なんとなく高い程度のイメージがより具体的にイメージできたと思います。
そして何よりも,不妊治療をすれば,治療者全員が妊娠する,ということではなく,治療しても授かることのないカップルがいることも知ることができたと思います。
じゃあいつ妊娠を考えたらいいの?
ここまで,妊娠に至るまでのさまざまな事柄について発表メンバーから教えてもらいました。
では,どういうタイミングで子どもを作るのがよいのかという疑問が残ると思います。
セミナーでは,じゃあいつから子作りをした方が良いといったおすすめではなく,自然妊娠と不妊治療のそれぞれを行う場合,何歳で子どもをもうける確率についてデータで示してもらいました。あくまでも参考となるデータではあるのですが,ひとつの検討材料になるデータでした。
また,人生のイベント,つまり仕事や親の介護などを考えたときに,どのタイミングで出産することで,どんな良いこと,あるいはイベントの重なりなどを考えられる情報についても教えてもらいました。
妊娠したい人の大切なポイント
このセミナーで素敵だなと感じたひとつとして,データを示しただけで終わるのではなく,このテーマから普段の生活を振り返る内容に繋げていたことが挙げられます。
それは,いざ妊娠しよう!と思っても,妊娠しにくい体になっていては,それだけ妊娠率が低下してしまうからです。
また,妊娠中の合併症などのトラブルが起きやすくもなってきます。
まだ相手がいない,カップルで考えたことがない等,今すぐ子どもをつくることはできないこともあるかもしれませんが,妊娠に向けた準備をすることはできるのです。
これを聞いてなるほど!と納得してしまいました。素晴らしい提案だと思います。
おわりに
このセミナーをきっかけにパートナーと話すことの大切さについても考えさせられたと思いました。妊娠,出産,育児はひとりで行うことではもちろんないのですが,どこか女性の負担が大きくなってしまいがちです。
男は狩りに出て,育児は女性に任せる時代ではないのです。
女性にも知ってもらいたい内容が盛りだくさんでしたが,それよりも,特に男性に知ってもらいたいことが詰まったセミナーでした。
いつか男性限定のセミナーとしてバージョンアップし,みなさんにお届けできたらと思っています。
またお会いできることを楽しみにしています。
ゆるっと性教育